2017年8月27日日曜日

♯157「石田の記憶を捻じ曲げる旅」放送後記 tvkでは「大歳のドライブを見にいく旅」

西垣です。

西では石田さんの記憶が捻じ曲がり、
東では大歳のドライブを見守る!
奇しくも2本ともドッキリ回となってます。

「石田の記憶が捻じ曲げる旅」は、
自分があげた誕生日プレゼントが何かを忘れ、
してない配役の出演の思い出を語る石田さんは、
「記憶が捻じ曲がっている!」ということに端を発して、
企画が生まれました。

昔の思い出を話す、という嘘番組という体裁で、
石田さんにドッキリを仕掛けたのです。

「酒井が捻挫した」とか「ヨーロッパハウスに雷が落ちた」とか嘘エピソードを話し、石田さんから「そんなことあったなぁ」「そうそうあのときね」という言葉をおびき寄せる!


 大事なのはポーカーフェイスですね、涼しい顔で、
嘘を話していく。

ナチュラルな永野さん。全くどっきりを仕掛けている感じがしない。
さすが俳優!
ここで、一つ問題が。どっきりを仕掛ける時に、笑いが込み上げてきてしまう。
しかし、そこは彼らの役者力で乗り切った。


きちんと笑いを噛み殺す土佐さん。


考えているフリをして口元を見えないようにするテクニック。


考えているフリをして表情を隠してしまうという熟練の技。


顔面を強くにぎって、表情をぐちゃぐちゃにするというトリッキーな技。

最後はむちゃくちゃ笑ってどっきり終了。

さて「大歳のドライブを見にいく旅」では、
僕と欣也さんが仕掛け人です。

大歳さんはスケボーの趣味もドライブも、
仕事の帰り道、こっそり僕だけに教えてくれました。
申し訳ないなという天使とオモロイやん!という悪魔が戦い、
結果悪魔が圧勝、企画実行となってしまいました。

大学生とのワークショップで
大歳さんが教室に来たとき「スケボーや」「スケボーきた」
と呼ばれているのを見ると申し訳ない気持ちになります。
それ以来ドライブもスケボーもしていないので趣味を奪う形になってしまいました。

次の趣味として「乗馬」「パラグライダー」「サバゲー」「和太鼓」とか
どうでしょうか。
せめてもの償いとして「大歳に新しい趣味を持たせる旅」できないかな。

2017年8月20日日曜日

作家もこそっと書くブログ9 トラウマ克服劇団がゆく。

上田です。
西垣さんと僕で、なんとなく週替わりで、
KBSとtvkでの放送のことを、交互に書いていきますね。

今週はtvkのこと。
先ほど放送されたのは、「トラウマ克服劇団の旅」でした。


KBSでは、去年のちょうど今ごろに放送された回。

京都の演劇人たちから過去のトラウマ体験談を聞きだし、
それの「裏ストーリー」を演じることで、傷を癒してあげる。
そんな「トラウマ克服劇団」が、4つのトラウマに挑む、という旅。


思わぬハートウォーミングな瞬間が見れた、というのが、
この旅の拾いものでした。
演劇の力とはすごいものだな、と。
ひとときでも、虚構が現実を塗り替えることってあるんですよね。

暗い旅は、「ドキュメンタリーバラエティ」でして。
けど、せっかく僕ら演劇人がやる番組ですから、
演劇人にしかできない要素を、できることなら入れたいな、と。
そう思いながら、旅を続けていて。

たとえばコント回がそうなんですが。
この「トラウマ克服劇団の旅」も、また別の、ひとつの答えだなと。

割とこれ、緊張する企画なんです。
脚本力や演技力が、まあまあ野に晒されるという。
言ったら一応、本業ですからね。
冗談っぽくやってますけど、けっこう一同、本気は出していて。


これが本気か、というむきもありましょうが。


本公演でも、似たようなことをやっています。

特にまあ、「トラウマ克服劇団」は、
人の実際のトラウマを相手取るわけですから、
思いがけず、作劇の強度が要求されますし。

いい劇を見せれば、ゲストもいい顔をしてくれる。
そうでもない劇だと、ゲストの顔はやっぱり晴れない。


最後の九鬼そねみさんへの上演では、
軽くふざけにかかったら、案外シリアスなトラウマだったようで、
これは舐めてかかっちゃいけないな、と、背筋が伸びたものでした。
根深いやつは、くそSFでは癒し得ないのだと。

そんなわけで、これは大変、面白い旅です。
いや、人のトラウマを面白がっちゃあいけませんけど。
言ってみれば、現実が勝つか、物語が勝つかの、真剣勝負で。
一瞬でも、劇が涙拭くハンカチになれれば、素敵じゃありませんか。


本多くんは、ふざけているようにも見えますけど。
理不尽な現実と、演劇で果敢に戦う男の姿です。

もっとやりたいですね。
第2回はわりとすぐにやりましたけど。
3回、4回と続けていけたらと。

もっと強めのトラウマにも出会いたいですし(怖いけど)、
長編だって作ってみたい。劇場で公演をするとか。
劇団員ももっと増やしてきたいですね。
かつてトラウマを克服した人が、こんどは劇団側に回るとか。
逆に、重いトラウマに取り込まれて、闇落ちするやつもいたりして。

夢は広がる、トラウマ克服劇団。
トラウマをお持ちの演劇人の方、お、お待ちしております。

2017年8月13日日曜日

♯156「蚊柱少年になる旅」放送後記。

西垣です。

初夏の夕暮れ。
部活終わり、あの子と自転車で帰った河川敷で、
蚊柱に襲われたことは、ありませんか?
いい雰囲気になりたいのに、自分の頭の上に蚊柱が立ったり、
またまた、あの子にうつったり。

早朝ジョギングしていたあの朝。
きらきら走っていると、蚊柱が口の中に入ってきたことはないですか?
かわしながら、走って変なひとに思われたりとか?

そんなノスタルジーな思いをひっさげて、
今回は自ら蚊柱を立て、蚊柱少年になろう!というのが今回の企画です。
の、はずが。

なぜか手には、わたがし。

そう、蚊柱はもう目の前、ロケーションも抜群!
その前に行われた、ふわふわファンタジーに包まれた、
西村プロディース『かわいいエチュード』をお送りします。
※テレビでは早送りになってしまいました。


石田「僕の名前は綿菓子わたお!友達が欲しいなぁ」
物語の主人公はわたお、ぼんやりとした顔をしている。
石田「でも鼻が大きくてイジメられてばっかりなんだ」
確かに、ちょっぴり鼻が大きいけど。気にするなよ、わたお。
そこにやってきたのは、



酒井「わしはわたがし博士じゃ!」
石田「博士」
博士がわたおに、何の用なのでしょう?

酒井「わしが作った友達マシーンで仲間を呼んでみよう!」
博士は発明で、わたおの夢を叶えて
くれるのです。

そしてやってきたのは…


黒木「綿菓子伯爵じゃ!」
わたおとは、少し年が離れているけど、
石田「伯爵!」
わたおは、大喜び。


黒木「どうだね、バーボンでも飲むかね?」
ちょっと大人の提案をする伯爵であった。
酒井「わしたちは、わたがしだから飲んだら
   溶けちゃうぞ」
一同「はははははっ!」
酒井「めでたしめでたし」
と、平和に物語が終わりました。

しかし、めでたしめでたしと終わったにも、
かかわらず、変なやつがやってきました。


一人?二人?

欣也「遅れちゃうよ、遅れちゃうよ!ドーン!」
突然やってきた、登場人物と設定。
かろうじて伯爵が口をひらいた。

黒木「なんだ、こいつは?」
ここから、物語は急速に潤いをうしないます。


欣也「物語に混ぜてよ」
いくら、のびた君が仲間外れになっても
こんなことは言いません。言ってはいけません。
石田「どういうこと?」
欣也「説明に時間をかけていい?」
と言ったところで終劇。強制終了。
誰が悪いわけじゃない、確かに全員悪人だけど、最後のやつは極悪でした。


時がたち、つわものどもが夢のあと。














2017年8月6日日曜日

作家もこそっと書くブログ8 ひと部屋で。

えー、8月5日(もう6日ですね)、24時30分から。

tvkさんで、めでたく暗い旅の放送がスタートしまして。
記念すべき第1回目として、
「中川さんの頭に象のじょうろを乗せる旅」が、放送されました。
ご覧いただいたあなた、どうもありがとうございます。

一方そのころ、同時刻。
KBSさんでは、まったりと
「ダニエルがボードゲームを営業しにくる旅」が、
再放送されていまして。
こちらも、ご覧いただいたあなた、おおきにです。

そうなんです、分裂しているのですよね。

東西で、放送時間帯が同じにも関わらず、
放送回が、ズレているという。
さぞ、東西で盛り上がるぞ、なんて期待していましたけども。
これでは、神がお怒りになったあとのバベルの塔ばりに、
東西で断絶が生じてしまいます。

ですので、近い将来、同じタイミングで新作が流せるように。
今現在、呼吸を合わせ中です。もう少々お待ちください。
それまでは、列島を分断する温度差をお楽しみくださいね。

このブログも、前回
「放送終了後にこのブログを上げるような感じにしていきますね。
 あとがきっぽく愉しんでいただけたらと。」
などと、気取って書いたわりには、
さてお前は東西どっちのあとがきを書くのだ、と
2択を厳しく迫られていますが。

まあ今回は、tvkさんでの放送スタートを記念して、
「中川さんの頭に象のじょうろを乗せる旅」のことを書きますね。
そして早急に、西垣さんとブログの分担を話しあいます。

「中川さんの頭に象のじょうろを乗せる旅」は、
まあ一目瞭然、こういう回でございました。


アンラッキーな中川さんをラッキーにすべく、
ラッキィ池田さんに倣って、象のじょうろを
何があっても頭に乗せ続ける、という企画。

失敗して象が転落すると、象の断末魔が悲痛に響くという。
さらに、象を小さくできる「子象チャンス」や
象を重くできる「重りチャンス」もあって。

何を思ってこの旅をやろうとしたのか、今となってはおぼろですし、
何がどう作用して、そうなったのか分かりませんが、
恐らく暗い旅史上、ベストワンの回となりました。

これは、KBSで見た方の年末アンケートでもそうだったし、
僕らスタッフの手ごたえとしても、そんな打撃感になってます。
はるきっちゃんがはりきっちゃんになってくれたおかげです。

中川さんは、「俺はこの回以降呼ばれていない」などと
SNSで猛っていますが、それは「わりとベストが出た」からです。

いろいろ奇跡にも恵まれましたしね。

どうせつまんないステージがあるだろう、と思って
10ステージ用意していたら、10ステージすべて味わい深かったという。

なので、これいっそ2回分にしようかな、という誘惑もありましたが。
それをも振り切って、(まあ2回分やることではないですが)
10ステージをぎゅっと23分に濃縮したのが、この回です。

あんまり手前味噌になってもあれですが、
ひとつ、褒められるところがあるとすれば、
「この旅を、一部屋でやっている」ということですね。

いや、正確には、畳敷きの部屋と、
となりの床張りの部屋の、二部屋ですが。

いずれにせよ、豪華なセットとか、大掛かりな外ロケではなく
(そんなことやったことないですけど)
殺風景なヨーロッパハウスの二階だけで、こんなふうな
大人がキャッキャとエキサイトする旅ができた。

これに僕は、ある感慨を感じています。

ひと部屋企画、好きなんですよね僕。

過去にも、「盛り上がるジグソーパズルパーティーの旅」とか。
ボードゲーム関連の旅、クイズ関連の旅、
あと、KBSで折りしも放送された
「ダニエルがボードゲームを営業しにくる旅」もそうですが。

ひと部屋で、充実感のある旅をする。
これが、ぼく個人としての、内なる目標でありまして。

遡ること7年前、暗い旅を始めるときに、
建築家の、吉阪隆正さんという方の
「旅行」という文章に、ガツンと稲妻を落とされました。

以下、引用しますね。

↓↓

ときどき旅行をすることをすすめます。
金も暇もいらない魂の旅行をすることを。
この肉体の中ばかりをうろうろとしている魂に、
時々は肉体から飛び出して、人の肉体の中に入ってみたり、
あるいは空高く舞い上がって
宇宙全体が見渡せるような所まで遊びに行くことです。

銀河も、あらゆる他の星座も、
小さなひとつの塊に見える所まで行って、
またもとの肉体に戻ってくることです。
そしてわが胸のぬくもりの中で、
静かに旅の思い出にふけってごらんなさい。
顔におのずとほほえみを覚えるでしょう。

↑↑

「ははー、これだ!」となりまして。
番組のテーマを、こういうことにしよう、と。
魂の旅行をするのだ、それには、金もヒマもいらないのだと。

以来、なんとなく、
「物理的には遠くへ行っていない、その割には
 フィーバーした旅」というのが、いい旅。
という基準が、僕の中に、ひっそりと芽吹きました。

西垣くんとか鍋ちゃんは、外ロケも好きらしいので、
べつに足並みは揃っていないのですが。
まあ、僕はそんなわけで、「ひと部屋企画」に、
ある思い入れがありまして。
(単にインドア派なだけかもしれません)

ですので、この
「中川さんの頭に象のじょうろを乗せる旅」で、
ベストスコアが出せたことは、
僕としては、嬉しさもひとしおなんでした。

スポーツが嫌いで、体育も1で、
旅行も遠出もしたくない僕の、面目躍如っていいますか。

もし、この旅をご覧になって、
銃弾を鍋のふたで防ぐ中川さんの背景に、
ふと、アフリカの大地のジブリ(熱風)を感じていただけたなら
望外の喜びですし、
プラスチックの象たちのレースに、
モナコの潮風の匂いがふと鼻をかすめたなら、
この旅をやった回があるというものです。

魂の旅行とはそういうことです。

えーそして、これが曲がりなりにもベスト1ということは、
次回以降、目減りするんじゃないかという懸念は免れませんが、
旅の好みはそれぞれですし、同じアテンドはしてないつもりですし、
これからもよりエキサイティングな旅ができるよう、
スタッフ一同、鋭意努力してまいります。

そうして、これは!という旅がいつか思いついたときには。
また中川さんに出てもらいたいと思います。
パオーン!